民藝
界隈
界隈
お道具紹介 ①
文・岡本 純一
掛け替えのあるものと
掛け替えの無いもののお話
先日、奈良で行われた「工藝、その先にあるもの」というトークセッションへ行ってきた。
登壇者は、赤木さん(塗師)・西垣先生(建築史)・嘉戸さん(唐紙師)・鞍田さん(哲学者)
掛け替えのあるとは、交換可能な代用品があること。例えば、エアコンやテレビ。それらは、新型が作られるたびに交換したくなる。大量に作られ、毎年大量に交換される。
今、私たちは、便利なものに囲まれて暮らし、一見豊かになったように思われる。
しかし、そこには、生きているという実感が生まれるのか?
物質的に豊かになった事と引き換えに、掛け替えの無い「何か」を失ってしまった。
トークセッションは
そんなお話だったように思う。
今私たちは、掛け替えの無い「何か」を求めて彷徨い始めている。
それを埋めるのは、祈りや自然、もの寂しさ、そして「21世紀の民藝」なのではないか。
そんな締めくくりだった。
*写真は、信楽焼青竹土瓶時代は、明治期から昭和にかけて作られたものだと思います。
炉端でお茶を入れるために使われた耐熱土瓶。今ではあまり使う場面が無いけど、傍に置いてる。
なんだか、愛嬌があり、また、もの寂しさも感じる。
僕にとっての、掛け替えの無いものの一つ。
岡本 純一(オカモト ジュンイチ)
陶器作家、Awabi ware代表。1979年兵庫県淡路島生れ。武蔵野美術大学大学院彫刻コース修了。同大学助手、非常勤講師を経て、2010年に地元淡路島にUターンし、「民藝は可能か?」をテーマに器の制作を始める。2016年、株式会社あわびウェア設立。2018年民藝入門書を目指した「ミンゲイサイコウ」を立ち上げる。