民藝
界隈

お道具紹介 ③

文・岡本 純一
江戸後期に作られた龍門寺焼のカラカラ。現在の鹿児島県で焼かれる龍門寺焼は今でも窯元が残っています。

ど民藝!龍門寺焼 カラカラ

 

十八世紀に作られた鹿児島の焼き物です。
カラカラとは鹿児島や沖縄地方の呼び方で陶器製の酒器のことをいいます。

いわゆる民藝と聞くと、こんな道具を想像するのでは、ないでしょうか。
見所はなんといっても
柄杓がけの緑釉の大らかさ
藁灰と銅で作られた釉薬だと思いますが、なんとも気がぬけています。
緑釉を何個も柄杓でかけまわしてるうちに、柄杓の釉薬がなくなって、「あー、くそっ!」とか言いながら、残りの雫を頑張ってかけたような、そんな雰囲気です。

現代の感覚からすると上手に釉薬を掛けられてるとはいえませんが、
意識的にやろうと思ってもできない健康的な風格があります。
民藝にまつわる言葉に
無意識だとか、無作為というものがあります。
まさにそのようにしてできた
まるで雨漏りのシミのような装飾ですね。

からからを見ていると
アクションペインティングで有名なジャクソン・ポロックの絵画を思い出しました。

ポロックの絵と民藝につながりはあるのでしょうか?

一度専門家に聞いてみましょうね。

江戸後期に作られた龍門寺焼のカラカラ。現在の鹿児島県で焼かれる龍門寺焼は今でも窯元が残っています。
岡本 純一
岡本 純一(オカモト ジュンイチ)

陶器作家、Awabi ware代表。1979年兵庫県淡路島生れ。武蔵野美術大学大学院彫刻コース修了。同大学助手、非常勤講師を経て、2010年に地元淡路島にUターンし、「民藝は可能か?」をテーマに器の制作を始める。2016年、株式会社あわびウェア設立。2018年民藝入門書を目指した「ミンゲイサイコウ」を立ち上げる。