民藝
界隈
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お道具紹介 ②
文・岡本 純一
珉平焼 黄釉小壷
きらびやかでありながら、どこか侘びた風情を持つ小壷
明治の末頃に淡路島で作られた焼き物です。
珉平焼とは、江戸時代後期に賀集珉平という陶工が京焼を学んだ後、淡路島に開いた窯元です。
当時の珉平さんは、今で言う新進の陶芸家でオリジナリティの溢れるちょっと高価なセレブのための陶器を作ってました。中国や東南アジア、京焼の影響を受けながら独自の世界観で作られた作品は、今でも評価が高く人気です。
この小壷は、そんな珉平さんが没してから作られたものです。
現在、珉平焼といって市場に出ている器の殆どが、珉平さんの孫の代が明治中期に創設した株式会社 淡陶社(ダントウシャ)製のものです。
釉薬には、鉛を原料とする低温釉(低火度で溶ける釉薬)が使われていて鉛特有のハッとするような発色が特徴です。
実は、現在の法律では、食品用陶器に鉛含有の釉薬の使用は禁じられています。
なぜなら、人体に有害であると分かっているからです。
しかし、この目を惹く発色は鉛を使った釉薬でしか得られないもので、人はそんな危険なものだからこそ、魅了されるのかもしれません。
他では、ウランガラスと言って、放射性物質である天然ウランを使った綺麗な色をした伝統的なガラス製品があります。 危険でありながら美しい、人はなぜ、そのようなものに惹かれるのでしょうね。
岡本 純一(オカモト ジュンイチ)
陶器作家、Awabi ware代表。1979年兵庫県淡路島生れ。武蔵野美術大学大学院彫刻コース修了。同大学助手、非常勤講師を経て、2010年に地元淡路島にUターンし、「民藝は可能か?」をテーマに器の制作を始める。2016年、株式会社あわびウェア設立。2018年民藝入門書を目指した「ミンゲイサイコウ」を立ち上げる。